【心理学】大人どうしが子供の喧嘩みたいなことをしてしまう理由

〜心理学で紐解く〜

なぜ大人どうしが子供の

喧嘩みたいなことをしてしまうのか?

職場、

夫婦関係、

経営者同士、

そしてスポーツの現場など。

私たちは時々

え? なんで大人どうしが

まるで子供みたいな喧嘩をしてるの?

という場面に遭遇することがあります。

冷静に見ている第三者からすると
 

そんなことで揉める?

話し合えば済む話では?

と思うことも少なくありません。

しかし

当事者にとっては一歩も引けない

大真面目な死闘になっています。

なぜ

理性を備えたはずの大人が

感情むき出しの

泥試合に陥ってしまうのでしょうか?

今回は

その裏側を心理学的観点から深掘りします。

じつは

戦っているのは

目の前の相手ではなく

傷つきたくない自分です。

【本当に傷ついているのはプライド】

多くの喧嘩は

一見すると

意見の違いや仕事のやり方のズレが

原因で起きているように見えます。 

しかし

それは表面上のトリガー(引き金)に

過ぎません。

本当の原因は

意見を否定されたという

心の中に湧き上がる感情です。

「自分の存在を否定された」

「能力を認められなかった」

「軽く扱われた(バカにされた)」

つまり

傷ついているのは

自尊心(プライド)です。

人間には

自分の価値を守りたいという本能があります。

そのため相手のただの意見を

脳が勝手に人格攻撃として変換して

受け取ってしまうのです。

【脳は命の危険とプライドの危険を区別できない】

ではなぜ

そこまで過剰に反応してしまうのでしょうか?

理由は

私たちの脳の仕組み(進化の歴史)にあります。
 

原始の時代

仲間から否定されたり拒絶されたりすることは

集団からの追放を意味していました。

当時の人類にとって

群れから追い出されることは

100%の死と同義だったのです。

脳が

死の危険を察知すると

アドレナリンが噴出し

戦うか、逃げるか

(ファイト・オア・フライト)の戦闘モードに

入ります。

この状態になると

冷静な思考を司る前頭前野の働きは

一気に低下します。  

普段はどんなに知的で理性的な人でも

IQが下がり

感情的な言葉を吐いてしまうのは

脳がパニックを起こしているからなのです。

【大人の喧嘩はお互いの承認欲求の争いである】

さらに視点を深めると

大人の喧嘩の多くは承認欲求の衝突です。

人は誰しも

認められたい 

価値ある存在だと思われたい

という欲求を持っています。

しかし

ここで問題になるのが

自己受容(自分で自分を認める力)の度合い

です。

自分で自分を

認められていない人(自己受容が低い人)ほど

その穴埋めを他人の評価に依存します。

すると

対話の目的が問題解決ではなく

私を認めろ!

私の正しさを理解しろ!

という勝敗ゲームにすり替わって

しまうのです。 

勝ち負けのゲームになった瞬間

建設的な対話は終了し

泥沼の争いが始まります。

【攻撃性の裏にあるのは恐怖と投影】

心理学には

投影(とうえい)という概念があります。
 

これは

自分の中で認めたくないドロドロした部分を

他人に映し出して攻撃してしまうという

心の防衛メカニズムです。 

自分の能力に自信がない人ほど

他人の無能さを見下して攻撃する。

自分が失敗を恐れている人ほど

他人の失敗を激しく責め立てる。

つまり

強い攻撃性の裏には

必ず強い恐怖と不安があるということです。

激しく怒り狂っている人は

客観的には攻撃的な加害者に見えます。

しかし

本人の脳内では

理不尽な恐怖から必死に身を守っている

被害者なのです。

成熟した人は

相手の怒り(表面上の攻撃)だけを見ません。

その奥にある

恐れや不安(怯えている内なる子供)を

見ています。

【本当に成熟した人は勝とうとしない】

未成熟な状態の人は

常にどちらが正しいか(過去と勝ち負け)

を争います。

一方で

本当に成熟した人はどうすれば解決できるか

(未来と目的)を考えます。

ここには決定的な違いがあります。

成熟した人ほど

自分の非をスッと認めて謝ることができます。

なぜなら

謝ることは

自分の価値が下がる負け戦ではなく

最短で未来の解決に向かうための賢い手段

だと知っているからです。

【スポーツ、ビジネス、教育の現場で活かす】

この心理メカニズムは

あらゆる指導やマネジメントの現場で

全く同じことが言えます。

・選手が理不尽に反発してくるとき

・会員様やお客様から強いクレームを

 いただいたとき

・スタッフや部下同士が対立しているとき

彼らの言葉をそのまま受け止めて

こちらも正論で論破しようとしては

絶対にいけません。

その奥にある

「認められたい」

「置いていかれたくない」 

「傷つきたくない」

という悲鳴に耳を傾けるのです。

優れた指導者やリーダーは

頭ごなしに否定しません。

まずは相手の存在そのものを

全肯定して安心させ

防衛本能のガードを下げさせてから

本来の指導に入ります。

【不変の真理】

人は安心すると「学び(成長)」に向かう。

人は不安になると「防衛(攻撃・拒絶)」に向かう。

教育も、

経営も、

日々のトレーニング指導も、

すべて根底は同じです。

大人になるとは

年齢ではなくエゴの客観視。

大人どうしの喧嘩は 

意見の衝突ではありません。

その正体は

「傷ついた自尊心」

「満たされない承認欲求」

「失いたくない自己価値」

の防衛戦です。

人は怒りで戦っているように見えて

実際には恐怖で戦っています。
 

私たちが目指すべき

本当に成熟した大人とは

自分の感情の揺らぎを

客観視(メタ認知)できる人。

相手を論破する人ではなく

相手が必死に守ろうとしている

防衛本能を理解し包み込める人。

大人になるとは

単に年齢を重ねることではありません。

自分の心の中にいる

怯えた子供(エゴ)を

もう一人の自分が一歩引いて

優しく客観視できるように

なることなのかもしれません。

では最後にお待ちかねの川柳です。

論破より 

理解が開く 

人の道

byくさか