【心理学】なぜ人は「すぐバレる嘘」をついてしまうのか?

【心理学】
なぜ人は「すぐバレる嘘」をついてしまうのか?

~真実を隠すより自分を守るが優先される瞬間~

「えっ!それ本当?」

そう聞いた瞬間、

・急に説明が増える。

・話が長くなる。

・言い訳が多くなる。

そして

聞かれてもいないことまで話し始める。

本人は

「ちゃんと説明できた」

「これで納得してもらえた」

と安心しているかもしれません。

しかし

聞いている側には

「何か隠しているのでは?」

という違和感が残ります。

では

なぜ人は

客観的に見れば

「すぐにバレそうな嘘」

をついてしまうのでしょうか?

その背景には

人間が持つ

「自分を守ろうとする心理」

があります。

■ 嘘の目的は「相手を騙す」ことだけではない

嘘というと

「相手を騙すためにつくもの」

と思われがちです。

しかし

日常生活で生まれる嘘の中には

自分自身を守るための嘘

もあります。

たとえば

・怒られたくない

・嫌われたくない

・評価を下げたくない

・責任を取りたくない

・恥をかきたくない

こうした不安や恐怖が強くなると

人は

「何が正しいか」よりも

「どうすれば今の危機を避けられるか」

に意識が向きやすくなります。

つまり

嘘そのものが目的なのではありません。

「今の自分を守りたい」

その気持ちが

嘘という行動につながることがあるのです。

■ なぜ「バレる嘘」をついてしまうのか?

ポイントは

「その場を切り抜けること」が

最優先になってしまうこと。

たとえば

上司から進捗を確認されたとします。

「例の資料、昨日までにやった?」

本当は

まだ終わっていない。

しかし

「やっていないと言ったら怒られる」

「評価が下がるかもしれない」

という不安が出てくる。

そこで

「はい、やりました」

と思わず言ってしまう。

この瞬間

本人の中では

「とりあえず、この場を切り抜けた」

という感覚が生まれます。

ところが

「じゃあ、どこまで終わった?」

こう聞かれると

最初の嘘を成立させるために

新しい説明が必要になります。

「データはまとめました」

「最後の確認がまだです」

「一部だけ修正中です」

そして

さらに質問されれば

また説明が必要になる。

一つの嘘を守るために、新しい説明が増えていく。

これが

すぐバレる嘘が大きくなっていく仕組みです。

■ 「嘘をつく」より「嘘を維持する」ほうが難しい

ここが

非常に重要なポイントです。
 

事実を話す場合は

基本的に

「実際に何が起きたのか」

を思い出して説明すればいいだけ。

ところが

嘘をついた場合は

それだけでは済みません。

「さっき何と言った?」

「この話と矛盾していないか?」

「次に何を聞かれる?」

「この説明で納得してもらえるか?」

このように

複数の情報を同時に管理する必要があります。

嘘をつくことには

「何を話すか」

だけではなく

「何を隠すか」

「何と言ったことにするか」

「どこまで話すか」

という追加の処理が必要になります。

そのため

嘘をついているときには

認知的な負担が大きくなります。

そして

その負担が

説明の不自然さや矛盾

につながります。

ただし

「話が長い=嘘」

「緊張している=嘘」

という単純な判断はできません。

緊張や多弁には

性格や状況など

さまざまな要因があるからです。

■ 「余計な一言」が、かえって怪しくなる

嘘をついているとき

人は

「信じてもらわなければ」

という気持ちになることがあります。

すると

必要以上に説明してしまう。

たとえば

昨日はちゃんと連絡しました。

夕方くらいだったと思います。

いや

正確には仕事が終わる少し前で

そのとき◯◯さんもいて

たしかそのあとに‥。

質問されたのは

「連絡しましたか?」だけ。

それなのに

どんどん情報が追加されていく。
 

もちろん

説明が長いから嘘とは限りません。

しかし

「疑われたくない」

という気持ちが強くなりすぎると

必要以上に

説明してしまうことがあります。

そして

情報が増えれば増えるほど

矛盾する可能性も増えていく。

結果として

自分を守るために増やした説明が

逆に自分を苦しくしてしまう。
 

これが

「過剰説明の罠」です。

■ 人は「嘘」だけでなく「違和感」を見ている

相手が見ているのは

言葉だけではありません。

・話の一貫性

・質問への答え方

・説明の変化

・必要以上の弁解

・事実との食い違い

・普段との違い

こうした情報を

人は総合的に受け取っています。

だから

言葉だけをきれいに作っても

全体として不自然なら違和感が残る。

嘘がバレるとき

「この一言でバレた」

というより

小さな違和感が積み重なっている

ことも少なくありません。

■ 小さな失敗を隠した結果、大きな問題になる

「怒られたくない」

「評価を下げたくない」

その気持ちから小さな失敗を隠す。

しかし

嘘がバレると問題は変わります。

「失敗した」だけなら

修正できるかもしれません。

ところが

「失敗した」+「隠した」

となると

さらに

「この人の説明を信じていいのか?」

という問題が生まれます。

つまり

失敗そのものより

隠そうとした行動が

信頼を大きく損なうことになる。

ここが難しいところです。

■ 「本当のことを言える環境」が重要になる

では

どうすれば

こうした嘘を減らせるのでしょうか?

一つの重要な要素が

心理的安全性です。

心理的安全性とは

簡単に言えば

失敗や疑問を伝えても

不当に否定されたり罰せられたり

するのではないかという不安が少ない状態です。

もちろん

心理的安全性があれば

誰も嘘をつかなくなるわけではありません。

しかし

「失敗を正直に話しても大丈夫」

と思える環境であれば

自己防衛のために嘘をつく

必要性は小さくなります。

だから

人を育てる立場では

「なぜ嘘をついた?」

と責めるだけではなく

「なぜ本当のことを言えなかったのか?」

を考えることも大切です。

■ 「心理的安全性」と「何をしても許される」は違う

ここは

非常に重要です。
 

心理的安全性とは

「嘘をついても怒られない環境」

ではありません。
 

むしろ

「事実を正直に伝えられる環境」です。

・失敗したら原因を確認する。

・問題があれば改善する。

・ルール違反があれば必要な対応をする。

そのうえで

「失敗した人そのものを否定しない」

これが大切です。

「失敗したこと」と

「その人自身の価値」を切り離して考える。

そうすれば

失敗を隠すより、早く報告して修正する

という行動が生まれやすくなります。

■ 本当に強い人は「失敗を隠さない」

本当に強い人は

失敗しない人ではありません。
 

指摘されても

言い訳をしない人でもありません。

事実と自分自身を

切り離して考えられる人です。

「失敗した」
↓
「だから自分はダメだ」

ではなく

「失敗した」
↓
「何が原因だった?」
↓
「どう修正する?」
↓
「次はどう防ぐ?」

と考える。

ここには

自己否定ではなく自己修正があります。

■ 嘘をつきそうになったら「3秒止まる」

もし

「まずい」

「怒られる」

「どう説明しよう」

と思ったら

すぐに答えを作らない。
 

3秒だけ止まる。

そして

自分に3つ質問します。

① 事実は何か?

② 自分は何を恐れているのか?

③ 今必要なのは「言い訳」か「修正」か?

そして

できるだけシンプルに

「事実 → 原因 → 対応」

の順番で伝える。

「確認できていませんでした。」
↓
「自分の確認不足です。」
↓
「今から確認して、◯時までに報告します。」

これなら

話を作る必要がありません。

■ 最後に

人が

「すぐバレる嘘」をついてしまうのは

必ずしも

「悪い人だから」ではありません。

その瞬間

「真実を伝えること」より「自分を守ること」

が優先されているのかもしれません。

しかし

自分を守るためについた嘘が

新しい嘘を生み

説明を増やし

矛盾を生み

最後には

「信用」という大切なものまで

失わせてしまう。

だからこそ

大切なのは

嘘をうまくつくことではありません。

嘘をつかなくても

自分を守れる人になること。

失敗しても

「すみません。間違えました」と言える。

分からなければ

「分かりません」と言える。

できなければ

「できていません」と言える。
 

そして

その後に

「では、どうするか?」

を考える。

信用を守るのは完璧な人ではありません。

都合の悪い事実から逃げず

修正できる人です。

逃げるための言葉より

立て直すための行動。

それが

長く信頼される人の

共通点なのかもしれません。

では最後にお待ちかねの川柳です。

隠すほど  

増える説明 

減る信用

byくさか