自分を守る人ほど笑ってごまかす理由
自分を守る人ほど笑ってごまかす理由
~「自己防衛」から「自己修復」へ変わるために~
「いやいや(笑)」
「そんな大したことじゃないですよ(笑)」
「まあ、そういうこともありますよね(笑)」
こちらが真剣に話をしている時に
そんな笑いを見て
「反省していない」
「ふざけている」
「真剣に考えていない」
と感じる人もいると思います。
しかし
心理学的に見ると
この笑いは単純な「ふざけ」ではなく
自分を守るための反応
として起きている場合があります。
そして
ここを理解すると
「なぜ笑うのか?」
だけではなく
「どうすれば笑ってごまかす必要がなくなるのか?」
まで見えてきます。
■ ①「失敗」と「自分の価値」を切り離す
まず重要なのは
「行動」と「自分自身」を分けて
考えることです。
たとえば
「確認を忘れた」
という出来事があったとします。
これは
行動の問題です。
ところが
「確認を忘れた」
↓
「自分は仕事ができない」
↓
「自分はダメな人間だ」
と考えてしまうと
行動の失敗が
自分自身の価値の否定に変わります。
すると
指摘されることが怖くなります。
なぜなら
指摘されているのが
「行動」ではなく
「自分自身」だと感じてしまうからです。
その結果
・笑う。
・言い訳する。
・話をそらす。
・相手を責める。
・黙り込む。
さまざまな防衛反応が起こります。
だからこそ
「失敗した」ことと
「自分には価値がない」ことは
別問題として考える必要があります。
「今回の行動は間違っていた」と
「自分はダメな人間だ」は
同じ意味ではありません。
・行動は修正できる。
・行動は学習できる。
・行動は変えられる。
この「分離」ができるようになると
指摘を受けたときの
心理的負担が軽くなります。
「自分が否定された」
ではなく
「自分の行動について情報をもらった」
と捉えられるようになるからです。
■ ② 笑っている人には「安全基地」が必要
ここで
指導する側や周囲の人間にも
重要な役割があります。
笑ってごまかしているように
見える人に対して
「なんで笑ってるんだ!」
「何がおかしいんだ!」
と強い口調で責めてしまう。
すると
相手の心理的な緊張はさらに高まります。
緊張する
↓
笑う
↓
怒られる
↓
さらに緊張する
↓
もっと笑う・固まる・黙る
このような悪循環が起こる可能性があります。
つまり
「笑うな」と叱るだけでは
防衛反応そのものを
強めてしまうことがあるのです。
そこで大切になるのが
「安全に事実を確認できる環境」です。
たとえば
「今、緊張しているのかな。」
「まず事実だけ確認しよう。」
「責めることが目的じゃないよ。」
「何が起きたのか、順番に話してみよう。」
こうした関わり方です。
これは
相手を甘やかすことではありません。
安心させることと
責任を曖昧にすることは別です。
むしろ
心理的な安全が確保されているからこそ
人は事実を認めやすくなります。
「怒られないから正直に話す」のではなく
「事実を話しても人格まで否定されない」
という安心感。
これが
指導や教育の土台になります。
■ ③ 「自己防衛」と「自己修復」は違う
ここが
今回のテーマで最も重要な部分です。
人は
都合の悪いことが起きたとき
大きく2つの方向に進むことができます。
自己防衛
なのか
自己修復・自己修正
なのか。
自己防衛とは
「今の自分を守ること」
にエネルギーを使うこと。
・言い訳する
・責任を避ける
・話をそらす
・相手のせいにする
・笑って流す
・なかったことにする
一時的には心が楽になります。
しかし
問題そのものは残ります。
一方
自己修復・自己修正は
「未来の自分を変えること」
にエネルギーを使います。
・事実を確認する
・間違いを認める
・原因を考える
・改善策を決める
・実際に行動する
・次回の結果を確認する
こちらは
その場では少し苦しい。
しかし
未来の自分は変わります。
つまり
自己防衛は「今の自分」を守る。
自己修正は「未来の自分」を守る。
この違いです。
■ 「笑ってごまかす」の正体
ここまでをつなげると
「笑ってごまかす」という行動が
少し違って見えてきます。
笑いそのものが
問題なのではありません。
問題なのは
笑いによって
事実と向き合うことまで避けてしまうことです。
笑う。
↓
緊張を下げる。
↓
その場を乗り切る。
↓
自分を守る。
↓
しかし問題は解決しない。
この状態が続くと
同じ問題が繰り返されます。
そして
また指摘される。
また笑う。
また防衛する。
こうして
「自己防衛のループ」が完成します。
■ では、どうすればループを抜けられるのか?
ポイントは
「笑わないこと」ではありません。
・笑ってしまってもいい。
・緊張してもいい。
・恥ずかしくてもいい。
大切なのは
その後に何をするかです。
たとえば
「すみません、
ちょっと緊張して笑ってしまいました。」
「もう一度、事実を確認させてください。」
「自分の確認不足でした。」
「次からはチェック方法を変えます。」
ここまで進めれば
笑いは「逃げるための反応」から
「受け止めるための入り口」
に変わります。
■ 指導する側も「人」ではなく「行動」を見る
指導する側にも
大切な視点があります。
「この人はダメだ」ではなく
「今回の行動のどこに問題があったのか」
を見ることです。
人格を否定すると
相手は自分を守ろうとします。
しかし
行動を具体的に確認すると
相手は修正することができます。
「あなたはダメ」
ではなく
「この確認が抜けていた。」
「この報告が遅かった。」
「ここを次回から変えよう。」
人格ではなく行動。
評価ではなく事実。
責めることではなく修正。
この視点が
人を育てるコミュニケーションにつながります。
■ 本当に強い人とは?
本当に強い人は
失敗しない人ではありません。
指摘されても
笑わない人でもありません。
指摘されたときに
自分自身を否定されたと思わず
必要な部分だけを修正できる人です。
「自分はダメだ」
ではなく
「この行動は変えよう。」
「責められた」
ではなく
「改善するための情報をもらった。」
「恥をかいた」
ではなく
「次は同じことを繰り返さない。」
こうした考え方が
自己防衛から自己修正への切り替え
になります。
■ 最後に
人は
自分を守りたい生き物です。
だから
・都合の悪いことから逃げたくなる。
・笑ってしまう。
・言い訳したくなる。
・見なかったことにしたくなる。
大切なのは
その防衛反応の後に
どちらへ進むかです。
自己防衛で逃げるのか。
それとも
自己修復・自己修正して
自分を成長させるのか。
本当の意味での
「逃げない姿勢」
とはそういうことだと私は思います。
では最後にお待ちかねの川柳です。
失敗と
自分の価値は
別のもの
byくさか


